卒業生の活躍

 功刀さおりさん

27回生 1992年卒業
慶応義塾大学文学部中国文学専攻卒業
東邦音楽大学音楽療法教養講座修了
東邦音楽大学エクステンションセンター講師(書道・東洋史他)
東邦音楽学校講師(二胡・大正琴実技指導)
カワイ音楽教室講師

現在の自分(自己紹介・職業紹介等)

新たな発見や視座を求め続ける

私は純心学園には高校から入学いたしました。現在は音楽・芸術分野での教育事業に従事しています。専門は日本と中国を中心とした東アジアの歴史や文化芸術で、実践と理論の両面で取り組んでいます。

現代の歴史学的な発想として東洋・西洋という区分が外されつつあり、歴史分野においてもグローバル化が進んでいます。今後もその傾向や勢いは続くはずで西洋史も勉強中です。ヨーロッパの歴史を知るにあたり必ずキリスト教の歴史にぶつかります。その時に純心学園での事、具体的な授業内容というよりは、学園でのキリスト教の価値観に基づく様々な教育活動を思い出し、それが私の糧となっています。

また近年の科学技術の発達により多くの発掘や発見がなされ、新たな知見が誕生しています。歴史は生き物であると再認識し知的好奇心を刺激されます。勉強に終わりはなく、知れば知るほど自身の無知や無力さを知り謙虚になります。これからも研究を続け、新たな発見や視座を得ていきたく思っています。

著書『中国王朝時代の文化芸術』

純心生活での思い出

パイプオルガンで奏でられたバッハの楽曲

何よりも心満たされたのが講堂のパイプオルガン、そしてバッハの楽曲でした。バッハは音楽の父と言われているとおり曲から愛が溢れています。この純心時代に聴くことができたパイプオルガンで奏でられるバッハの曲が私の「琴線」に触れ、その後の音楽・芸術への道標となりました。音楽大学へは進みませんでしたが現在も音楽に携わっており、その原点はやはりこの純心時代にあったと確信を持っています。

純心時代の経験が現在に活かされている事

挑戦することを怖れない心の強さ

IT普及の加速化と、それに伴う多様性といった新たな価値観の誕生するこの令和時代、柔軟な姿勢が本当に必要だと感じています。そんな中、私が今も昔も共通して信念のように持っているのは「目の前の事に全力で取り組む事」と「決して諦めない事」です。これは私だけに限らず年齢や性別、時や場所を超えて万人に共通して言えると思います。この考えは純心学園の理念と共通し、もっと言えば純心時代に培われたものだと実感しています。何かに向かって努力し進んでいても、失敗や挫折といったハードルや壁が存在します。それは学園標語にもある「いやなこと」でしょう。しかしそれに立ち向かい、対峙しなければ先へは進めません。その先の未来や幸福を思えばそれは決して「いやなこと」ではありません。挑戦する事を怖れない、そんな心の強さを持てたのは純心の理念のおかげであると実感しています。

純心生へのメッセージ

生徒個々人がありのままでいられる学園

この純心学園に入学された事、そして大切な思春期をこの学園で過ごせた事は、後に大きな宝であることに必ず気付きます。私は2021年度の同窓会会報「丘友会」の巻頭、松下みどり校長先生のお言葉に深く感銘いたしました。生徒個々が「ありのまま」でいる事を大切にしてくれる、個性を大事にしてくれる、この愛に溢れた学園は他にありません。在校生はその事がいま解らなくても、いつか必ず解る時がきます。そういう場所が純心生には存在する事、それは本当に幸福なことです。その事を心の糧に、どうか怖れずに未来を自身の力で切り開いて進んでいって欲しいと願っています。